2010年代後半から増え始めた太陽光パネルの多くは、
30年代に耐用年数を超えて大量廃棄されかねないため、
企業などにリサイクルを義務付けて環境負荷の軽減を図るようです。
リサイクルせずに廃棄や放置した場合の罰則を設けることも視野に入れるようです。
早ければ来年の通常国会に関連法案を提出する太陽光パネルのリサイクルに関して、
今回は今決まっている内容をまとめました。
太陽光パネルの歴史をまず振り返ります
. 太陽光パネルの誕生
- 19世紀:初期の発見
太陽光パネルの歴史は、1839年にフランスの物理学者アレクサンドル・エドモンド・ベクレルによる光電効果の発見から始まります。この発見は、光が特定の物質に当たると電流が発生するというもので、太陽光発電の基礎となりました。 - 1950年代:シリコン太陽電池の発明
1954年、アメリカのベル研究所が初のシリコン太陽電池を発表しました。このセルは当初、宇宙船への電力供給を目的として開発されましたが、その後、民間でも使用され始めます。
太陽光パネルはどのように拡大していったのか
1970〜1980年代:エネルギー危機と技術の進歩
1970年代のオイルショックを契機に、クリーンで持続可能なエネルギーへの関心が高まり、太陽光発電の技術開発が加速しました。この時期、コスト削減と効率向上が進み、太陽光パネルの市場が拡大し始めました。
2000年代:政策支援と急成長
各国政府による補助金やフィードインタリフ(FIT)制度などの支援策が導入され、太陽光発電が急成長しました。技術の進化により、製造コストが劇的に下がり、家庭や企業でも導入が進みました。
2020年代:再生可能エネルギーの中核へ
現在、太陽光発電は世界の再生可能エネルギーの中心的存在です。環境問題への対応や技術の進化により、今後もさらなる普及が期待されています。
太陽光パネルの現在の状況
日本の状況
- 導入の拡大と課題
- 設置容量の増加
日本では、2011年の東日本大震災以降、再生可能エネルギーへのシフトが急速に進みました。政府はフィードインタリフ(FIT)制度を導入し、太陽光発電の導入が大幅に拡大しました。2023年時点で、太陽光発電は日本の再生可能エネルギー発電量の約45%を占めています。 - 土地とインフラの問題
一方で、日本は国土が狭く平地が少ないため、適切な設置場所の確保が課題となっています。住宅の屋根や遊休地、さらには水上に浮かべるフロート型パネルなどの導入が進んでいます。 - 蓄電技術の発展と新たな制度
太陽光発電の普及に伴い、電力の安定供給を支える蓄電池の導入も進んでいます。さらに、2022年にはFITに代わる新たな制度「FIP(フィードインプレミアム)」が導入され、市場価格に連動した価格支援により、より効率的なエネルギー運用が期待されています。
- 設置容量の増加
- リサイクルと廃棄パネルの増加
- リサイクル体制の整備
太陽光パネルの寿命が近づく中、日本では廃棄パネルのリサイクル体制の整備が急務となっています。政府はリサイクル推進のためのガイドラインを策定し、パネルメーカーにリサイクルの責任を負わせる法整備も進めています。
- リサイクル体制の整備
海外の状況
- ヨーロッパ
- リーダー的存在
ヨーロッパは、特にドイツやスペインが太陽光発電の導入を積極的に進めており、全体のエネルギー供給における再生可能エネルギーの割合が高いです。欧州連合(EU)は、2030年までに全エネルギーの32%を再生可能エネルギーで賄う目標を掲げており、太陽光発電の役割がますます重要になっています。 - サーキュラーエコノミーとリサイクル
EUではサーキュラーエコノミー(循環型経済)戦略の一環として、太陽光パネルのリサイクルが法的に義務付けられており、リサイクル施設の整備も進んでいます。
- リーダー的存在
- アメリカ
- 大規模導入とコスト削減
アメリカでも太陽光発電の導入が急増しており、特にカリフォルニア州などがリーダー的存在です。技術革新と製造コストの低下により、設置コストが大幅に下がり、家庭から企業まで幅広く普及しています。 - 政策支援とクリーンエネルギー目標
バイデン政権は、2050年までにカーボンニュートラルを目指しており、太陽光発電の拡大が不可欠です。政府は税制優遇や補助金などを通じて太陽光パネルの普及を後押ししています。
- 大規模導入とコスト削減
- 中国
- 世界最大の生産国と導入国
中国は世界最大の太陽光パネル生産国であり、最大の導入国でもあります。政府主導で大規模な太陽光発電所が建設され、クリーンエネルギーの普及が進んでいます。しかし、国内の過剰生産や安価な製品の輸出が他国の産業に影響を与えるなど、国際的な課題もあります。 - リサイクル技術の開発
中国でも廃棄パネルの増加が問題となっており、リサイクル技術の開発が進んでいます。国内企業は、新しいリサイクル手法を開発し、コスト削減と環境負荷の低減に取り組んでいます。
- 世界最大の生産国と導入国
なぜ太陽光パネルをリサイクルすることを検討しているのか
廃棄物問題の拡大
太陽光パネルは通常20〜30年の寿命がありますが、導入から数十年が経過したため、今後大量の廃棄が予想されています。パネルにはシリコン、銀、カドミウム、鉛などの素材が含まれており、適切に処理されないと環境汚染の原因となります。
資源の有効利用と環境保護
パネルのリサイクルにより、貴重な素材を再利用することができ、資源の浪費を防ぐことができます。現在、リサイクル技術の進化により、使用済みパネルから素材を回収する効率が向上しています。
まとめ
太陽光パネルから取り出したガラスやシリコンなどは再利用し、
資源の有効活用を図り有識者会議では、
リサイクルしやすいパネルの回収方法を検討しているようです。
悪いことばかりではなく、
原料となるヨウ素などは多くが国産品を調達できるため、
経済安全保障の点でも重要視されています。
国内外で大きなシェア(占有率)を占める安価な中国製太陽光パネルに代わる存在として育てば、
世界市場をリードすることも可能となります。
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